人も鳥も集まる緑地−鹿児島県・サボーランドパーク姶良−

◆◆鹿児島県SF緑化工法協会の代表作であるサボーランドパーク姶良をご紹介します。鹿児島県SF緑化工法協会による緑化現場です。◆◆

◇データ◇
工事名:災害関連緊急砂防工事(触田川)
発注者:鹿児島県加治木土木事務所
施工日:平成7年3月
法面:勾配1:1.0の切土、硬度35mm以上の硬質シラス、施工面積5200u
緑化工:接着繊維工〈TG緑化工法〉、平均吹付厚5cm
緑化基礎工:ラス金網張り工

導入種:ヤマハギ、イタチハギ、メドハギ、シャリンバイ、ヒサカキ、ヤマハゼ、アキグミ、トベラ、オーチャードグラス、イタリアンライグラス、バヒアグラス、ススキ

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◇サボーランドパーク姶良の緑化を振り返って・・・諏訪氏

「この現場は、SF緑化システムを始めて間もないころの施工だったので不安があったが、今では鹿児島SFの代表作です。できれば、難しい硬質シラスの法面だけでなく、後方の広大な斜面も施工したかった。そうすれば、今ごろは法枠が隠れ、一面緑の斜面になっていたはず。」

「鹿児島市周辺にはシラスの急斜面が多く、斜面安定化と緑化が必要な箇所が沢山あります。現在はそのほとんどに法枠と従来工法が施工されています。法枠は景観があまり良くないし、子供たちには“怪獣の骨”といわれているんです。“怪獣の骨”を“緑の林”に変えたいものです。
ただし、市民の中には、樹林化を好まない人や倒木を心配する人もいます。だから、低木性で、郷土の木でもあるシャリンバイを導入するのが持って来いだと思うのですが。」

◇SF緑化工法協会は樹林化の先駆者・・・篠原氏

「SF緑化工法協会は新参者。県内の斜面緑化は、ほとんどが草主体でガン吹きの厚層基材吹付工と相場が決まっています。今のところ、TG緑化工法は緑化の難しい岩盤などに適用されていますが、“樹林化”を取り入れてもらうのは大変というのが本音。これまでのSF緑化システムによる成果を紹介して、樹林化を普及したいと考えています。」

◇鹿児島県の緑化を通して・・・新谷協会副会長

「従来の厚層基材工は年毎に悪くなる。SF工法は年毎によくなる。
そのわけは、従来工法には土が入っていないし、草が主体だから。SF工法は、基盤に自然の土を使っている。そして先駆樹が入っているから。草は基盤の養分を吸収し尽くせば衰退します。しかし、先駆樹はやせ地でも育ち、そして落ち葉が新しい土壌をつくるんです。」

「SF工法の1年目は導入種がちょぼちょぼとしか生えないことが多い。けれど、3,4年目にバーッと成果が見えてきます。また、1年目に雑草が繁茂して先行きが不安になる例があるけれど、それは、自然の土を使っているから仕方のないことでしょう。SF工法がより自然な証です。」

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サボーランドパーク姶良はすごいと噂に聞いていたのですが、贔屓目を差し引いて見ても噂は本当でした。
鹿児島空港の近くですので、機会があれば足を伸ばしてご覧いただきたいと思います。

ここに掲載した写真の一部と資料等は(株)植村組と(株)加覧組が提供してくださったものです。ありがとうございました。

◆◆今後も各地の緑化現場から、SF緑化工法協会員の活動をお知らせしていきます。◆◆

(文責:全国SF緑化工法協会・田口睦)


写真1

今回の緑化の達人は、薩摩隼人のお三方。
写真右から、鹿児島県SF緑化工法協会事務長で(株)植村組管理部の諏訪六雄部長、鹿児島県SF緑化工法協会副会長で(株)加覧組の新谷政昭社長、(株)植村組管理部の篠原幸男係長です。


写真2

サボーランドパーク姶良、平成13年11月15日現在の様子。
ジョギングコースが設置され、週末には多くの市民が訪れる。
小学校や養護学校の遠足にも利用されている。


写真3

平成5年8月、姶良町は集中豪雨に見舞われ、姶良ニュータウン下のシラスの斜面が1.5キロメートルにわたり崩壊した。この数日後に、鹿児島市周辺は8・6災害といわれる土砂災害に襲われている。
火山噴出物のシラスは、栄養分に乏しく保水性にも劣るため、緑化困難な土壌である。また、表流水により激しい浸食を受けやすく、南九州の土砂災害の現況ともいわれてきた。


写真4

平成7年3月、写真中No1〜3の硬質シラスの尾根に、接着繊維工〈TG緑化工法〉による緑化が行われた。
土壌硬度35〜37mmの硬質シラスには、従来の厚層基材吹付工では緑化困難との判断による。
左右に伸びる崖には、法枠が設置され従来工法による緑化が行われた。


写真5

***施工から6年経過したNo1の様子***

夏にはヤマハゼやアキグミの葉が茂り、秋に真っ赤なヤマハゼの紅葉とアキグミの実が楽しめ、冬になるとシャリンバイやトベラの照葉が斜面を彩る。


写真6

***施工から6年経過したNo1の様子***

アキグミは鳥だけでなく、人にも人気。子供たちが遊びながら食べる。大人は、焼酎漬けにするため沢山摘んで帰る。肝臓の薬になるらしい。


写真7

***施工から6年経過したNo1の様子***

同じ種子配合でも、乾燥気味の部分にはイタチハギとメドハギ、草本だけが残っている。
他工法(厚層基材吹付工)が施工された法枠部分では、基盤が崩れて、地山のシラスが見えてきた箇所がある。基盤の養分を吸収し尽くして、草が衰退しつつあるためと考えられる。
斜面上部からクズが伸びてきた。


写真8

***施工から6年経過したNo2の様子***

上部に落葉樹のヤマハゼ、アキグミ、林床に常緑樹のシャリンバイやトベラがバランスよく生えている。


写真9

***施工から6年経過したNo2の様子***

シャリンバイやトベラは鹿児島に多く自生する植物。特にシャリンバイは、大島紬の泥染めの染料ともなるなじみの深い木である


写真10

***施工から6年経過したNo3の様子***

後方の林がTG工法、前方の草地は張り芝工。
緑化工法の違いにより、こんなに植生・景観に差が現れる。
また、No1〜3の斜面は同じ工法・同じ種子配合でも、植生が微妙に異なっている。
斜面の向き・地山の硬さ・水分・・・様々な要因が植生を左右していると考えられる。とても人間の思い通りにはならないものだ。


写真11

***施工から6年経過したNo3の様子***

水分が保持されない天端には、草本とメドハギとイタチハギが生育。導入種は斜面部分と同じだが、乾燥が激しい所に適応した植物だけが残った。


写真12

***No3の経過***

施工前。硬度35〜37mmの硬質シラス。ラス金網+TG緑化工法5cmで施工。後方の法枠内は他工法(厚層基材吹付工)で施工。


写真13

***No3の経過***

施工後6ヶ月。メドハギとヤマハギに覆われる。


写真14

***No3の経過***

施工後2年。ハギ類とヤマハゼ・アキグミが混成し、立体的な林となりつつある。


写真15

***No3の経過***

施工後3年。ヤマハゼ2.7m、アキグミ2.4m、シャリンバイ1.0mに成長。


写真16

***No3の経過***

施工後4年。ヤマハゼ、アキグミが優勢に。


写真16

***No3の経過***

施工後6年。平成13年11月15日現在。
ヤマハゼ・アキグミ林になる。林床にはシャリンバイやトベラが生育。アカメガシワなどの侵入種もみられる。


写真17

「ビオトープ」って、こんなこと・・・・・・

サボーランドパークの管理人さんに話を聞いた。
「カラス、ツグミ、ヒヨドリ、シジュウカラが、アキグミの実を食べにくる。一番の常連はカラス。山の実を食べ尽くすと、ハゼの実を食べにメジロもやってくる。
夜になると、タヌキが出てくる。落ち葉や刈り草の下に集まるミミズがお目当てだ。」

集まるのは野生動物だけない。子どもや大人も。

「アキグミが大人気。それで、おいしい実をつけるアキグミを見つけると、その新梢を1mほど切って挿し木をする。4年も経てば立派な木になり、おいしい実をつける。」写真の看板の後ろのアキグミは、管理人さんによる挿し木だ。

ビオトープには管理人さんも一役買っている。


写真18

施工後17年後 平成24年11月撮影 bP

ヤマハゼ・アキグミの衰退し、イタチハギはほとんど見当たらない。

トベラ・シャリンバイの衰退は見られない。

アカメガシワの進入も見られる。







写真19

同上


写真20

同上


写真21

同上  2


写真22

同上  bR



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